最悪な1日。
1秒でも早く家に帰り、思いっきり泣きたい日ってありますよね。
思う存分泣いた後は、どこかホッとした気持ちになり、気を取り直して、キッチンに向かい夕ご飯の支度を始める。
こんな経験は誰にだってあると思います。
涙を流すことにより気持ちが落ち着くことが殆どですが、たまに泣いた後にさらに最悪な気持ちに落ちってしまうことありませんか?
感情を露わにして思いっきり泣いたのに、嫌な感情は消え去ることなく、むしろより悪化してしまうこともありますが、そもそも涙を流すことで何かしらの効果はあるのでしょうか?
・涙を流すことは良いこと?それとも逆効果?
・涙の実験
・実験結果
涙を流すことは良いこと?それとも逆効果?
涙を流すことで、気持ちは落ち着くのか?それとも逆効果なのか?
過半数の人が、涙を流すことで「感情がリリース」され、気分が回復されると信じてします。
実際に、一部の理論家は、涙には解毒作用があり、気持ちの鎮静、体の痛みを軽減し、ストレスを減らす効果があるとも言っています。つまり、負の感情と身体的痛みを防ぎ、回復の手助けをしてくれる様なのです。
涙の実験
涙には負の感情を打ち消し、身体的痛みを防ぐとは言えども、その裏にはどんな原理があるのか?
実際に涙による効果を数字で実証しようとした研究者がいました。
クイーンズランド大学の心理学者・シャーマン氏が行った研究によると、70%の人が涙を流すことで、気持ちが落ち着くと回答しました。
ただ、「直近で涙を流した時のことを振り返ってみてください。泣いた後の感情はどうでしたか?」という質問に対しては、50%の人が気持ちが落ち着いた、と数字はガクンと落ちています。
つまり涙を流すことが感情の落ち着きに繋がるかどうかは、とても曖昧で正確には判断しかねなかったのです。
そこでシャーマン氏は、より的確に「泣く行為」によって得られる効果を調べようと試みました。
シャーマン氏は、17歳〜50歳の女性を197名集め、悲しい映像と特に悲しくない映像を見せました。
悲しい映像は、悲しい内容のCM、映画のシーン、ドキュメンタリー番組。
悲しくない映像は、インタビュー動画、演説動画などでした。
参加者一人一人には、心拍数モニターと呼吸数を測定する装置が装着され、映像を見る前後には唾液コルチゾールの検査も行われました。
参加者たちが涙を流したかの判断は、実際に、シャーマン氏が参加者の様子を観察し、涙を流したかを自分の目で見て、参加者たちにも涙を流したか自己報告してもらいました。
さらに、参加者には氷のバケツに手を入れてもらうテストもしました。
先ほどもお話した通り、涙を流すことでストレスから身を守ることができるという考えのもと、涙を流した人は、より長く氷のバケツに手を入れることができると読んだのです
・心拍数
・呼吸数
・唾液コルチゾール
・氷バケツ
この4つで、実験したのです。
実験結果
さて、実験の結果はどうだったのでしょう?
恐らくみなさんが予想される通り、平穏時は特にどの数字にも何も変動はありませんでした。
悲しい映像を見て涙した人、涙しなかった人は、映像を見ている間は数値に若干の変化がありましたが、実験の終わりにはお互い平穏時の数値に戻っていました。
コルチゾールの数値を見ても、涙を流した人はやや数値が低下したほど。
心拍数に関しては、涙を流した人は、泣かなかった人に比べやや心拍数が上がりましたが、無意識に呼吸を調整し、すぐに平常値に戻っていました。
氷バケツに至っては、両者ともに、冷たさに耐えられずにすぐにバケツから手を離してしまいました。
つまり、この実験結果から見てわかるのは、涙を流すことで特に利点はもたらさないということでした。
涙を流すことで、心身の痛みを回復させるという考えは、数字的には実証されなかったのです。
でも、泣くことを我慢する必要はありません。
シャーマン氏が行った実験でわかる様に、涙を流すと心拍数は上がるも、平常値に戻そうと、無意識に呼吸を整える行動が見られました。
つまり、人は涙を流して無意識に正常モードに戻そうとしているのです。
また大事なことは、涙を流すことによって自分の感情に気づけること。
たまに、自分の感情に鈍感な人がいますが、涙を流すことで自分の今の悲しい気持ちに気づくことができます。
悲しい気持ちになってしまう理由、状況を把握し、周囲の支えを得る様にしましょう。
涙は、自分自身への訴えのあらわしなのかもしれませんよ。
数字的に見ると、涙には際立った効果が見られませんでした。
ただ、涙を流すことで、人は平常心を取り戻そうとする、また自分の感情に気づくことができるという意味では、大きな役目を果たしてくれているのでしょう。
参考元:Psychology Today